先日の土曜日に、
城南宮の「曲水の宴」を観に行ってきました。
平安の庭の遣水のほとりで行われるこの宴は、
年に二回、春と秋のうららかな季節に行われます。
美しい琴の調べと鳥の声が聞こえるお庭で、
鮮やかな平安貴族の装束に身を包んだ歌人たちが水の傍らに座り、
その日のお題にちなんだ和歌を短冊にしたため、
川上から流れてくる羽觴(うしょう)というおしどりの形をした
桧(ひのき)材の盃台に乗せたお神酒を引き寄せて頂くという、、、
なんとも優雅な昔のセレブの遊びです。
春にも観に来た事があるのですが、この日の庭内には
秋の植物のツワブキや少し色づき始めた楓が見られ、
乾いた葉が重なる音も耳に心地よく、
この季節にしかない美しさに包まれていました。
水で身を清める春の禊が由来になっている事もあり、
宴のあとは有料で一般の人が遣水に人形を流すお清めをさせてもらえます。
この人形を左胸、右胸、そしてもう一度左胸に当てて、
最後に息をふっと吹きかけ、水に流し、穢れを払います。
この日は曲水の宴が行われた平安の庭はじめ、
神苑内のお庭が無料公開されていて、
中では曲水の宴にまつわる資料や屏風の特別公開(撮影禁止)があり、
こちらは有料ですがせっかくなので行ってみる事に。
そこに、京都御所の曲水の宴のようすを描いた屏風がありました。
作者は吉田元陳(よしだげんちん)という
江戸時代中紀に御所造営の際円山応挙と共に活躍した絵師で、
1777年以降の作とされています。
曲水の宴は元々は中国から伝わり、
長い間宮中の年中行事として行われていましたが
後に途絶えがちになり、現在行われている曲水の宴は
故事に基づいて近代以降に始められたそうです。
解説員のお兄さんが言ってたのですが
その屏風も、当時失われつつある朝廷文化を見直そうという動きから
描かれたもので、その為に時代考証もしっかりと行われたそう。
それを聞くと、江戸時代の人たちが平安時代の人たちの文化に憧れて、
色々必死に調べて形に残そうとした、という事が興味深くて。
で、その時代考証をしっかりして描かれた絵がどんな絵かというと、
歌を詠む貴族が沢山居て、
う〜ん、と考え中という顔のひともいれば
ふ〜ん、と人のを覗いてるひともいます。
お酒も沢山飲んで、会話が聞こえてきそうな
とても和やかな雰囲気。楽しそやなー。
それもそのはず、盃を乗せた羽觴(おしどりを模した盃台)
がばんばん上流から来てて、わんこそば状態です。(笑)
しかも気になったのは、絵の中の羽觴、
本物のおしどりっぽい、、?
羽の模様も微妙に違うし羽を拡げてるのもいる。
もしかして昔の人は、本物の鳥の背中のふかふかのとこに
盃のせてたんかな!?
気になったので解説員のお兄さんに聞いてみると、
絵の中に描かれているのも今日見たものと同じで
本物ではなく作り物の羽觴との事。
それを聞いてもなお、本物の鳥ちゃうか・・と疑っている私は
家に帰ってネットで調べましたがそんな説は見つからず。
元陳さんが、描いてるうちに鳥描くのにハマって
リアルに描きすぎたとか?
このように私は
作者がもの言わぬ昔に描かれた絵を見たり、
「〜、と言われている」という解説に対して
「いや、ホンマはこうやったと思うで。」と
勝手な想像する事が、よくあります。(笑)
これも私の絵の楽しみ方のひとつです。
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